Integrate

まだまだですが、積分マスター・インテグラー(Integraler)を目指していきます。私の数学レベルの向上とともにブログのレベルも上げていきたいと思います。

不完全ガンマ関数の積分路が[0,i∞)、[0,-i∞)の時の求め方

本来、不完全ガンマ関数は積分区間が実数の時しか定義されてないのですが、



最近そんなことを言っている場合ではなくなってきたので、勝手に定義域を変更しちゃいます。


本来の不完全ガンマ関数は、次のように定義されます。


とは言っても、第一種と第二種があるのですが*1今回は題目の通り積分路の端っこを考えているので、第一種で統一します。

定義.第一種不完全ガンマ関数(本来)
\begin{align}x\in\mathbb R_{\ge 0}\end{align}\begin{align}a\in\mathbb C,Re(a)\gt 0\end{align}のとき、
\begin{align}\gamma(a,x):=\int^{x}_{0}e^{-x}x^{a-1}dx\end{align}
第一種不完全ガンマ関数という。

そして、今回だけは積分範囲の定義域を複素数全体にしたと思って話を進めます。




【[0,i∞)のとき】
本来の定義と同じ定義で\begin{align}s\end{align}とおいて、メリン変換で
\begin{align}\gamma(s,i\infty)&=\int^{i\infty}_{0}e^{-x}x^{s-1}dx\\
&=i^s\int^{\infty}_{0}e^{-ix}x^{s-1}dx\\
&=i^s(\mathcal{M}[\cos s]-\mathcal{M}[\sin s])\end{align}
となります、ガウス積分の別証明 - Integrateにのっている、メリンラプラス公式\begin{align}\mathcal{M}[\mathcal{L}[f(s)]]=\Gamma(s)\mathcal{M}[f(s)\mid_{s\to 1-s}]\end{align}を使って一個ずつ解体していきます。
\begin{align}\mathcal{M}[\cos s]=\frac{1}{\Gamma(1-s)}\mathcal{M}[\mathcal{L}[\cos s]\mid_{s\to 1-s}]\end{align}
ここで、三角関数と指数関数の積の積分を一発で求める公式 | 高校数学の美しい物語を参照して、
\begin{align}\mathcal{L}[\cos s]&=\int^{\infty}_{0}e^{-sx}\cos xdx\\
&=\left[\frac{e^{-sx}}{1+s^2}(\sin x-s\cos x)\right]^{\infty}_{0}\\
&=\frac{s}{1+s^2}\end{align}
となり、
\begin{align}\mathcal{M}[\cos s]=\frac{1}{\Gamma(1-s)}\int^{\infty}_{0}\frac{x^{1-s}}{1+x^2}dx\end{align}
\begin{align}x\mapsto \tan x\end{align}と変数変換して、ベータ関数を使って
\begin{align}&=\frac{1}{\Gamma(1-s)}\int^{\frac{\pi}{2}}_{0}\tan^{1-s} xdx\\
&=\frac{1}{\Gamma(1-s)}\cdot\frac{1}{2}B\left(1-\frac{s}{2},\frac{s}{2}\right)\\
&=\frac{\pi}{2}\frac{1}{\Gamma(1-s)\sin\left(\frac{\pi s}{2}\right)}\end{align}
となるので、\begin{align}\mathcal{M}[\sin s]\end{align}の方も同様にして
\begin{align}\mathcal{M}[\sin s]=\frac{\pi}{2}\frac{1}{\Gamma(1-s)\cos\left(\frac{\pi s}{2}\right)}\end{align}
がわかり、よって
\begin{align}\gamma(s,i\infty)&=\frac{\pi}{2}\frac{i^{s}}{\Gamma(s)}\left(\frac{1}{\sin\left(\frac{\pi s}{2}\right)}-\frac{i}{\cos\left(\frac{\pi s}{2}\right)}\right)\\
&=\Gamma(s)\end{align}
が成り立ちます。綺麗ですね。


【[0,-i∞)のとき】
\begin{align}\gamma(s,-i\infty)&=\int^{-i\infty}_{0}e^{-x}x^{s-1}dx\\
&=i^{-s}(\mathcal{M}[\cos s]+i\mathcal{M}[\sin s])\\
&=\frac{\pi}{2}\frac{i^{-s}}{\Gamma(1-s)}\left(\frac{1}{\sin\left(\frac{\pi s}{2}\right)}+\frac{i}{\cos\left(\frac{\pi s}{2}\right)}\right)\\
&=\Gamma(s)\end{align}




このようにして、

定理.
\begin{align}Re(s)\gt 0\end{align}に対して
\begin{align}\gamma(s,i\infty)=\gamma(s,-i\infty)=\Gamma(s)\end{align}

が得られました。複素解析を使えばもっと手短にできそうですが。